算定表の使い方(5)住宅ローンがある場合
婚姻中に夫婦でマンションを購入し、住宅ローンを組んだとします。
マンション、住宅ローンの名義は夫で、夫がローンを支払っています。
しばらくたって、夫婦が別居しますが、マンションに住んでいるのは妻で、妻が夫に婚姻費用を請求する場合を考えてみます。
算定表を単純にみると、婚姻費用が10万円であったとします。
他方、マンションのローンも月10万円です。
では、夫は、ローンを支払っているから婚姻費用はナシね、という主張ができるのでしょうか。
夫からすれば、自分が単身で住む家の家賃も支払って、妻が住むマンションのローンも支払って・・・となってしまいます。
また、算定表の金額のなかには、住居費も本来含まれているので、算定表で算出された婚姻費用に加えてローンも支払うとなれば二重払いになりかねません。
とはいえ、ローン相当額をそのまま婚姻費用から差し引く、という考え方は受け入れられづらいです。
ローン支払は確かに債務ですが、ローンの支払により夫はマンションへの所有権を手に入れます。
そのため、単純な二重払いとまではいえないのです。
この場合、どう処理するかというと、総収入(算定表でベースにする収入)の金額を調整することが多いです。
たとえば、総収入から住宅ローン支払額を控除した残額を総収入ととらえなおして、その数字をもとに算定表を使う場合があります。