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遺産分割調停で調停委員の対応に不満がある? | 吉利 浩美弁護士

弁護士吉利のコラム

遺産分割調停で調停委員の対応に不満がある?

遺産分割の調停を、すでに当事者ご自身で何回か進めているが、なかなか思うように進まないということで相談にみえる方がよくいらっしゃいます。

 

みなさんが共通しておっしゃるのが、

「調停委員が相手方に強く言ってくれない」

「調停委員が相手方の味方をしているような気がする」

「調停委員が親身になってくれない」

などなど、調停委員会に対する不満です。

 

もちろん、なかには残念な対応をされる調停委員もいるのかもしれません。

ただ、往々にして、このような不満は、調停委員会と当事者が、それぞれ調停で目指しているものが違う、ということが原因のように思います。

 

調停委員会は、今ある遺産を法定相続分どおりにわけることに主眼があります。

 

対して、当事者は、遺産分割調停で過去のことを問題にします。

いわく、

「もっと預金があったはずだ」

「お兄さんは、昔、大金をもらっていたはずだ」

などなど。

 

もちろん、なかには法的に組み立てられる言い分もありますが、なかなか法的に整理しづらい言い分であることもよくあります。

そのようなときに、調停委員会はスムーズに調停を進めようとしますが、その真意がうまく伝わらず、当事者はその対応に不満をもつのだと思います。

 

また、調停委員会は、審判官と違って判断する仕事をしているのではありません。

あくまでも、当事者の話し合いを仲介して、うまく解決に導くのが仕事です。

明らかに一方当事者がおかしなことを言っていればまた違うのかもしれませんが、基本的には当事者の言い分を批判せず、ときには他方当事者の理解が得やすいように言葉を選んで、伝えます。

当事者同士、意見が対立しているわけですから、一方当事者の言い分を伝え聞いた他方当事者は、憤慨することもあります。

そして、なぜ調停委員は、あいつの言っていることをそのまま鵜呑みにするんだ!!

と、なることが多いように思います。

 

こうして疑念を抱いてしまうと、調停委員会を信頼するのが難しくなるでしょう。

そうすると、手続きの流れもスムーズに、とはいきづらくなります。

 

調停をうまく進めるには、調停委員会を味方につけるのもポイントになります。

 

いま、調停委員に不満を持っている場合も、それが単に誤解にすぎないのかどうか、それを見極める手段として、弁護士への相談を利用してもよいかもしれません。

 

吉利 浩美弁護士