お金がないのに代償分割をしてもらえる?
遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割があります。
このなかの代償分割というのは、相続人のひとりが法定相続分より多めの遺産を取得した場合、その多すぎた分を、他の相続人にお金(代償金とよびます)で支払うという分割方法です。
たとえば、お父さんが亡くなって、相続人にお母さんと子ども1人がいるとします。
遺産は、お母さんが住む家だけです。
この場合、法定相続分はお母さんと子どもが2分の1ずつです。
お母さんとしては、自分が住んでいる家がなくなるのは困るわけで、家を相続したいと希望します。
ただ、その場合、他に遺産はないわけですから、お母さんが家を相続してしまうと、子どもはまったく遺産を相続できません。
そのぶんを、お母さんが子どもに代償金として支払うという方法です。
では、お母さんが働いておらず、貯金もない場合にも、代償分割はできるのでしょうか。
この場合、裁判所としては、お母さんに十分な資力があるか確認しようとします。
場合によっては、預金通帳のコピーなどを提出させることもあります。
あるいは、代償金の支払担保のために、家に抵当権を設定することもあります。