弁護士は他人の個人情報をどこまで調べられるの?
法律相談でよくお受けする質問です。
弁護士はその気になれば、住所、電話番号、職場から、口座番号までなんでもかんでも調べられてしまうんでしょうか。
答えは、NOです。
弁護士は探偵ではないので、法律上許された制度を使った範囲内でしか適法に情報を得ることはできません。
ただ、もちろん、適切な手段を使えば調査可能な情報もあります。
弁護士会照会という弁護士法に基づく制度により、弁護士会を介して情報開示を求める手段があります。
金融機関の伝票の開示を求めたり、刑事事件の捜査記録の一部の開示を求める場合に使います。
この手段により、例えばある人物の記載した申請書に、その人の住所や口座情報の記載があるとして、これこれこういう理由で開示を求めます、と請求してみること自体は可能です。
ただ、第一段階として弁護士会の照会手続担当弁護士が照会の妥当性を確認しますし、仮にクリアして照会をかけたとしても、照会先がプライバシーを理由に開示を拒否してくる場合もあります。
不当な開示拒否が問題になり訴訟沙汰になるケースもありますが、一定の限界があるということです。
他にも、職務上請求という手段により、訴訟提供等の目的があれば、戸籍謄本や住民票などを自治体に請求することも可能です。
もっともこの場合も、個人を特定する情報をある程度把握しているのが前提です。
台東区に住んでいる田中っていう名字の人の住民票、だとか、大野屋ビル3階に住んでいる人の戸籍謄本が欲しいけどその人の名前はわかりません、だとかいう請求だと、基本的に自治体は請求には応じてくれません。