【終活】争族を避けるために(1)争いの種になる遺言をのこさない
こちらでは、【終活】シリーズとして、遺族が相続を巡ってトラブルになりがちなことを解説しています。
遺言を書く、というのは、相続対策としてよく知られるようになりました。
しかし、何も考えずに中途半端に遺言を書いたとしたら、円満相続どころか、遺言の解釈をめぐってさらなるトラブルを招くことになりかねません。
中途半端な遺言になってしまう例は、やはり、残念ながら自筆証書遺言に多いように思います。
そのなかでも、自筆証書遺言を巡りかなり長期のトラブルになってしまった例を紹介します。
遺言者は不動産を何十件と所有していた地主で、子供も多くいました。
資産家ならではなのか、遺言を書かなければという意識はあったようなのですが、子供1人につき1枚の遺言を手書きし、それぞれの子供への遺産わけを試みました。
(このような遺言の書き方は、一部滅失の可能性を考えるとオススメはしませんが、内容に矛盾がない限りは一応有効です。)
いざ相続が発生し、遺言の内容を確認したところ、不動産の地番や地積が異なっている箇所が多くあることが判明しました。
子供同士が仲が良く、故人の意思をくみとってうまく話し合いできればよいのですが、そうでない場合には大変です。
不動産が特定されておらず、一部無効を争われる余地を生んでしまいます。
この場合、地番、地積の相違が遺言の効力にどう影響するかは、遺言書の他の土地の所有状況や、相続させようとした土地の性質など具体的な事案により異なります。
不動産を含む遺言を作成するときは、登記簿の記載に忠実に行うことは同然ですが、その後、分筆や区画整理などで登記簿の記載に変更があった場合にもしっかりと対応することが必要です。
登記簿の記載に忠実に、という意味では、弁護士などの専門家に依頼したり、公正証書遺言を活用することも考えられます。
遺言は、一度作ったからといってそのままにせず、定期的に内容の見直しを行うことが肝要です。