相続人による預金の使い込み
遺産分割協議をする際、相続人による預金の使い込みが疑われることは少なくありません。
よくあるのが、父親が他界し、母親が実家に1人残されて、長男が同居することになったようなケース。
長男の他に長女もいましたが、長女は実家から離れた場所で結婚して暮らしており、母親の財産管理は長男がしていました。
母親が亡くなり、長女が相続手続のために預金を調べてみると、思っていたよりもかなり残高が少ないことが発覚します。
あわてて取引履歴を取り寄せると、母親が亡くなった1週間後に、100万円単位の払い戻しが何度もされている・・・などなど。
こうした場合、まずは預金を管理していた長男に状況を確認し、使途を問い合わせることから始まります。
きちんとした回答が得られず、長男による着服が疑われる場合には、訴訟提起を検討することになります。
訴訟では、本当に長男が預金を払い戻したのか、長女が立証する必要があります。
払戻請求書の開示を金融機関に要求したり、キャッシュカードでの払戻がされている場合はカードの管理を長男がしていたことを主張するなどして、長男による着服を立証していきます。
ただ、訴訟となると、時間も手間もかかりますし、立証できなければ結局回収することはできません。
着服が疑われる金額や、立証の可能性を考慮して、本当に訴訟提起する価値があるかは検討する必要があります。