遺産・相続

相続問題のよくある争点

相続問題のよくある争点

  • 内容の違う遺言が複数見つかった
  • 被相続人の預金残高から、誰かが高額の払い戻しをした形跡がある
  • 土地を持っていたと聞いていたのに、誰かが処分してしまったのではないか
  • 被相続人の生前の事情からすると、法定相続分では不公平だ

遺言書、遺産分割、特別受益など、実務上争いになりやすい点をコラムとして解説しています。

弁護士へ相談するメリット

すべての相続人と交渉し、現実的な着地点をご提示いたします。ご自分だけで解決しようとすると、証拠探しなどに手間と時間を取られますし、「譲歩したら負け」と凝り固まってしまうことも考えられるでしょう。弁護士からの提案を、ひとつにまとまる「口実」として活用してみませんか。
相続問題はシンプルなように見えて、実は複雑な法律関係の集大成です。市販の手引書やインターネットでも一般論はわかるかもしれませんが、あなたのご家庭の事情については書いてありません。問題を整理し、やるべきことは何かを把握する手段としても、ぜひご相談ください。

相続発生前の対策(遺言書作成)

相続発生前の対策(遺言書作成)

遺言書には、手書きでしたためる「自筆証書遺言」、公証人が作成する「公正証書遺言」、内容を伏せておける「秘密証書遺言」の3タイプがあります。このうち、トラブルが格段に少ないのは「公正証書遺言」です。プロが作成するので書き間違えが少ない上、本人の遺言能力を最低限は担保してもらえますし、保管も行ってくれます。残されるご家族のためにも、公正証書遺言を利用するほうがよいでしょう。
遺言書の内容を決める際には、遺留分や相続税を考慮しなければ、結果として残されたご家族に負担を強いることになってしまいます。なかには、「こんな遺言書なら書かないほうがよかったのに」というような内容の遺言書も散見されます。安易に遺言書を作成する前に、専門家の意見を聞いてみませんか。

相続発生後、まず行うべきこと

(1) 遺言書の確認

遺言書があれば、原則としてその内容に従うことになりますので、遺言書の確認がスタート地点です。
被相続人が残したのが公正証書遺言であれば、相続人であることを明らかにすれば、公証役場で存否を確認することができます。
また、自筆証書遺言であっても、法務局での保管制度を利用している場合もありますので、法務局で確認をすることも検討します。

(2) 相続人の調査

遺産分割協議の際に相続人に漏れがあると、協議自体が無効になってしまいます。そのため、弁護士が相続事件に関与する場合には、戸籍をすべて取り寄せ、相続人の調査を行います。戸籍の取り寄せも、本籍を何度も移していたりすると意外と手間がかかるものですが、弁護士に事務手続を依頼することもできます。

(3) 財産調査

被相続人の財産や借金の調査をすることも重要です。近しい親族であればともかく、叔父や叔母等の遠縁の親族の場合には、負債の状況を把握していない場合も多いでしょう。不動産に抵当権が設定されていないか、被相続人宛の郵便物の中に借金の催告書がないか等、できる限りの調査は行いましょう。その際、相続放棄をする事態も想定して、被相続人の財産や借金には手をつけないように気を付けてください。

相続放棄、遺留分侵害額請求

(1) 相続放棄

万が一、被相続人に多額の借金があった場合は、一切の相続権を放棄することができます。ただし、少しでも遺産を処分するなど自分が相続をしたかのような行為をすると相続放棄が認められなくなります。もっとも、被相続人のお金を使ってしまった場合でも、使途が葬儀費用の支払であったなど、やむを得ない事情があると判断されれば、なお相続放棄が認められる場合もあります。
また、相続放棄には、相続の開始があったことを知ってから3か月という申立期限がありますので、相続が発生したら速やかに財産を精査するよう心がけてください。申立期限を超えてしまった場合でも、まったく相続財産が存在しないと思い込んでいたときなど、なお相続放棄できる場合があります。また、3か月では財産を精査する時間が足りない場合も、事情により期間の延長を裁判所に申し立てることもできますので、ご相談ください。

(2) 遺留分侵害額請求

兄弟姉妹以外の相続人には、民法により遺留分という権利が認められています。
遺言書により、自分の相続分が遺留分に満たない場合には、遺留分侵害額請求を行うことができます。ただし、1年間という期間制限がありますので、注意が必要です。

遺産分割協議

遺産分割協議

ある程度、相続人間で遺産の分割方法につき合意がある場合には、「遺産分割協議書」を作成します。「遺産分割協議書」は、不動産の相続登記をしたり、預貯金の払い戻しを行うために必要となります。「遺産分割協議書」の作成だけでも、弁護士に依頼することはできます。遺産分割の内容によっては、思わぬ点で課税が生じたりすることもありますので、特にトラブルがない相続の場合でも、事前に弁護士に相談されるのが安心です。 相続人間で合意ができない場合には、争点を整理するためにも、次のような流れで協議を進めることになります。

(1) 相続人の確認

遺産分割協議の際に相続人に漏れがあると、協議自体が無効になってしまいます。そのため、弁護士が相続事件に関与する場合には、戸籍をすべて取り寄せ、相続人の調査を行います。

(2) 遺産の範囲の確認

遺産分割の対象をまずは確定しないことには、話を進めることができません。「この土地も遺産に含まれるはずだ」「預金はもっとあったはずだ」など、遺産の範囲で折り合いがつかない場合には、訴訟を提起する必要があります。

(3) 遺産分割方法の決定

遺産分割の方法としては、(1)現物分割(遺産の現物を分割する方法)、(2)共有分割(法定相続分に応じた共有持分を取得する形で分割する方法)、(3)代償分割(法定相続分を超える遺産を取得する相続人が、他の相続人に対して代償金を交付する方法)、(4)換価分割(遺産を売却して金銭を分割する方法)があります。
その際、遺産(例えば不動産)の評価により、取得分が変わってくることがあるため、評価額を巡って争いになることもあります。不動産の評価方法としては、時価、相続税評価額、固定資産税評価額が主なものであり、どの方法をとるかは話し合いで決めることが多いです。

(4) 寄与分・特別受益の調整

被相続人の生前、ある相続人が介護をしたため介護費用の支出を免れた(寄与分)、あるいは、被相続人から自宅建物を買ってもらった相続人がいる(特別受益)など、被相続人の財産に影響を及ぼす事情がある場合には、遺産分割のなかで一定の範囲で考慮することができます。
これらの事情は遺産分割の中で争点になりがちですが、いずれも、証拠の不十分さ等により、認められることは少ないように思います。きちんと相手方に認めさせるためには、わかりやすい事実の説明と証拠固めが必要です。

(5) 裁判所での手続

どうしても合意に至らない場合は、遺産分割の調停を申立て、裁判所の手続で遺産分割方法について話し合うことになります。相続人間の見解の相違が大きい場合には、早期に調停を申し立てたほうが、結果的に解決までの時間は短く済むように思います。
調停でも合意に至らない場合は、遺産分割審判に移行します。審判では、裁判所が証拠に基づいて一定の判断を下します。
なお、「この土地も遺産に含まれるはずだ」「預金はもっとあったはずだ」など、遺産の範囲で折り合いがつかない場合には、遺産分割調停や審判の中で解決することはできず、訴訟を提起する必要があります。訴訟になると時間もかかりますし、また証拠がないことには裁判所を納得させられませんので、本当に訴訟提起する価値があるかどうかは、じっくりと吟味するべきでしょう。

(6) 相続税の申告

相続発生から10か月以内に、相続税の申告をする必要があります。
申告期限までに遺産分割がまとまりそうにないからといって、無理に合意を急ぐ必要はありません。ひとまず法定相続分どおりの内容で相続税の申告をしておいて、合意が成立した後で、申告の更正・修正を行うことができます。

ケース紹介・相続問題に関する弁護士費用

ご相談内容

ご相談内容

次男からのご相談。父親が亡くなり、父親が所有していた不動産をすべて売却し、現金を分けたいと考えていたが、父親名義の実家に住んでいる長男が反対している。資産の中にはアパートが含まれ、兄の協力が得られないと、勝手に賃借人を追い出すわけにもいかない。

当事務所の対応

感情的な対立が続いていたため、不動産を一緒に管理していくのは、かなり難しいと考えられました。そこで、長男に対して話し合いに応じるよう内容証明を出しましたが、反応がなかったので、最終的に調停を申し立てました。

結果

調停委員からの説得もあり、以下の内容で合意を得た。
実家には長男が住み続け、それ以外の不動産は売却。得た資金から、次男の相続分を支払った。また、賃借人との交渉は長男に任せることを取り決めた。

ポイント

長男は実家に住み続けたい。次男は自分の権利に見合った金銭がほしい。このように整理すると簡単に思われるかもしれませんが、本人同士では、なかなかスムーズに進められない側面がございます。今回のケースでは、それぞれが希望するポイントを抑えつつ、遺産分割とアパートの売却を調停手続の中で一挙に解決することができました。

費用

(1)遺産分割協議事件、遺留分侵害額請求事件

手続の種類 弁護士費用
着手金 報酬金
交渉段階 22万円(税込) 取得した金額の2~8%
調停 33万円(税込)(交渉から引き続き受任する場合は、交渉着手金との差額) 取得した金額の2~12%
審判・訴訟 44万円(税込)(調停から引き続き受任する場合は、交渉着手金との差額) 取得した金額の2~16%

※複雑な事案につきましては個別にお見積もりいたします。

(2)その他手続

手続の種類 弁護士費用
相続放棄・限定承認手続

相続放棄については、相続人お1人につき、7万7000円~11万円(税込)

限定承認については、債務・債権者の数等により、44万円(税込)〜

遺言執行手続 77万円(税込)~(遺産の金額、相続人の数による)
遺言書の作成 11~33万円(税込)(遺産の金額、遺留分計算の必要の有無による。)
成年後見等の申立て 22万円(税込)

※複雑な事案につきましては個別にお見積もりいたします。

  

お客様の声

40代
相続(限定承認)

依頼する前に何人かの弁護士に相談しましたが、吉利先生に依頼してよかったです。
こちらが疑問や不安に思っていることに対して詳しく非常に早く回答して頂けたので、安心感がありました。
また依頼することがあればお願いしたいですし、知り合いにもお勧めできる先生です。

70代
遺産相続

70歳を過ぎてから人生初めての弁護士事務所のドアをたたいたとき、不安と緊張で足がふるえました。
相続問題の相手は同年代の弟、弁護士さんというとイメージは男性、担当してくださる方が弟の立場の方に理解を示す方だったらと案じていたら、お若い弁護士さん、それも女性。
どんなにほっとしたことか。訴訟のこともなにもわからなかった高齢女性にわかりやすく説明して下さり、結果、こちらの訴えをすばやく解決してもらえました。
おかげさまですみやかに老後といわれる日々をスタートすることができました。

60代
遺産相続

問題なく進むと思っていた相続ですが始めてみると次から次へと思いもしないことが出てきて本当に困っておりました。
吉利先生に出会い年単位でかかると思っていた事案が7ヶ月後にはすっきりと終わらせることができました。お世話になり感謝しております。
ありがとうございました。